MANYO

インテリアデザイナーの方から、登録文化財である寺西家阿倍野長屋を改築し飲食店舗にするというお話しがあり、同時に庭も提案するということで依頼をいただきました。

この物件は正直、金額的にも日程的にも厳しく余裕が全くない状態で最低限の内容で納めることを望まれた物件でした。

設計をするというよりは、いくつかのポイントを抜粋して抑えていく。という作業でした。

アプローチ、玄関からの見え方、景石の配置バランス、土間の化粧。などなど。

すべてにおいて最低限の装いでどれだけ表現できるか?ということに尽きました。

なので今回は言葉としてのテーマはなく、そこをテーマとして取組みました。

例えば、落ち葉が全体的に散乱している地面があるとします。

それが、雑然としていてあまり美しくない空間であった場合。

その中を人が歩くとき、決まって同じ位置を通り、1本の直線ができるとそれだけでひとつの造形ができ、美しく見えはじめます。

また、土の部分と落ち葉の部分の境目をハッキリとエッヂをつけてあげるだけでさらに美しく見えてきます。

ちょっとした錯覚を与えてあげるだけでモノは美しい状態に生まれ変わります。
逆もあります。

せっかく綺麗な空間なのに、そのポイントを抑えていなければ台無しになってしまいます。

そして、素材自体が良いものでも高価なものでもなくても、そこにそれがあることが単に美しいと感じることがあります。

それは、そのモノに人の気持ちが感じられる時だと僕は思います。

「モノ」より「コト」が美しい。そんなコトを実践していったお仕事でした。

お金のある仕事ほど、デザイナーは普段から頭にストックしているイメージを使いたがってエゴの露出した自己満足のデザインになりがちです。最低限、かかるお金は絶対に必要ですが、切詰めた中でどういう表現ができるか?ということを学んだお仕事でした。