インテリアデザイナーの方から、登録文化財である寺西家阿倍野長屋を改築し飲食店舗にするというお話しがあり、同時に庭も提案するということで依頼をいただきました。
その頃といいますと、世間を騒がすニュースは、イラク戦争・集団自殺・家族での殺傷事件など、目を覆いたくなるような事柄ばかりが報道され、「生命」ってなんやろ?って漠然と思ってました。
一方で、庭は“飾り”ではなく“生命”である。
ということも考えはじめ、庭をつくる立場として、そのフィルターを通して何らかのメッセージを持って創作しなければという意識も芽生え始めた時期でした。
この頃から、自分なりのテーマを決めて取組むことを大切にするようになりました。
大きな流木は、男性のように力強く凛として存在し、生前の息使いをまざまざと見せながらも、なんの変化もせず立ち尽くしているように「死」を表現し、手前のハゴロモモミジは、やわらかいその姿は女性のように美しく、移ろう季節のなかでそれぞれに変化する生物の「生」を表現しました。
また、アプローチと坪庭とは同じ白川砂利を敷き詰め、店舗全体と庭の石や樹木・流木を大海に浮かぶ生命として見立てることによって、地球上に存在する「生命」を表現しました。
そして、元々「住まい」としての長屋の庭にあった手水鉢や飛石、景石はすべて活かすことを重要視し利用することに努めました。
この物件では、「お店」の庭ということで、「住まい」の庭とは違い、来店されたお客様の“ひととき”を演出する。お手伝いをするものとしての表現を学び、また、継続のカタチも「住まい」の庭とは違うことを考えさせられたお仕事でした。

















